ミャンマーの内国歳入局、局内の汚職撲滅に取り組む

ミャンマーの悪名高く悪質な内国歳入局(IRD)は、国が世界的に見て最低ランクの税収を向上させる取り組みを行っていることから、局員の間に広がる組織的な汚職を撲滅する準備を行っている。
Tet Tut Aung局長は、新たな民主政権が汚職のない社会を作ることを約束したことから、IRDは政府から直接指示を受けていないが、職員が賄賂を受け取る機会を減らすための措置を計画していると発表した。
「贈賄行為をなくすために最善を尽くす」という。
アジア開発銀行によると、ミャンマーは「世界最低の税収レベル」である。実際の税収率は2013年度の経済生産のわずか6.6%である。
ヨーロッパの政府の援助によって設立された法令順守を指導する団体であるビジネス反汚職ポータルは、「企業はミャンマーの税務行政の高い汚職のリスクに直面することになる」とミャンマーで事業を行うことを検討中の投資家に警告を出す。
「納税に関連する不規則な支払いが、一般的にやり取りされる。企業の約40%が税務当局との面談で賄賂を渡すことを予定している。ミャンマーの企業は、税の準備、書類提出、支払いに年間平均188時間を費やしている」。
ミャンマータイムズからの取材を受けたビジネスマンは、税務職員や地方職員から要求された賄賂は、大きなものでは数千ドルの現金から月例の団体での食事会にジョニーウォーカーウィスキーのボトルをつけるといった範囲に及ぶと話した。
しかし匿名の地方税務当局のヨーロッパ人アドバイザーによると、ミャンマーにおける増税の基本的な問題は縁故取引と引き換えに仲間から手数料を搾り取る軍事政権時代のシステムから通常の増税システムへとシフトしているという。
ADBもまた、天然資源からの歳入に対する政府の過度の依存が税制改革の遅れにつながり、法令が守られていない税制システムの原因が知識不足と行政の障害にあることを指摘している。
これらの問題に対処するTet Tut Aung氏は、今年はコンピューターシステムが多くのオフィスに導入される予定であり、これにより正確な報告が求められ、より多くの納税者が自己評価税申告書を提出しなければならなくなり、税務職員や納税者が自身の所得に対し個人的な関係を利用する機会を減らすことができると述べた
2014年以降、500社あるミャンマーの大企業は独自の納税申告書を作成し、大規模納税事務所に提出している。中小納税者事務所は依然として職員評価システムで行われている。
来年度には、自己評価システムは中規模納税事務所(MTO)1に申告する約1,000の中規模企業に導入されると彼は述べた。
MTO2は別の1,000企業を担当しており、さらに効率化される予定だ。また、19,000社の小企業を監督するMTO3が開設される予定であるとTet Tut Aung氏は明らかにした。
「事務所が抱える納税者の数が少なくなれば、より良いサービスを提供することができる」と彼は考える。彼は現在MTO2を担当している。
「コンピューターシステムに変更すれば、手書きの簿記による古い手続きの頃と比較して、賄賂対策は容易になる」という。
汚職を見つけたら報告するよう納税者に求めるポスターがIRDオフィスの壁に貼られている。今年後半に公開予定の同局の新しいウェブサイトでもまた、明確な反汚職メッセージが記される予定だ。
誰もはっきり言わないが、職員には既に納税者に対し賄賂を要求された場合すぐに報告するように伝えるよう指示している。
「私の見解では、自己評価システム導入により大規模納税事務所でこのような賄賂は減少し、中規模納税事務所にもこのシステムが導入されれば、賄賂は減るであろう」と彼は述べた。
賄賂撲滅に関する倫理コードと罰則はミャンマーの税法とスタッフガイドブックに明確に記されており、行動規範としてIRD職員に再び発行される予定である。「規範には職員はいかなる場合であっても職権を利用することはできないと記されている」。
「職員には警告しており、納税者にも汚職撲滅に取り組まなければならないことを知ってもらい、賄賂を要求された場合すぐに通知していただきたい」と語った。
これまでのところ内部告発を受けてないTet Tut氏の部署では贈収賄の事実はないが、ロンジーのような小額の贈り物を受け取っただけでも処罰された職員もいるという。
もう1つの取り組みとしてIRD職員の経費削減を掲げている。新しい公営住宅がKyauktada地区の税務署に近いPazundaung地区に既に完成している。長時間の通勤をしている職員がここを住居とすれば、交通費の削減とし家賃の節約につながる。
「この施設は間接的に反汚職対策に関連しており、新政府も公務員の給料を上げ、より大きな利益を提供するなど、同様に取り組むべきである」と彼は述べた。反汚職の誓いは、新しいヤンゴン市長のPhyo Min Thein氏が任期5年の間に汚職に対して取り組むと公約したことから、新しい政府の発表に盛り込まれたが、どのように目的を達成するのか、その方法は言及されていない。
国民民主連盟の代表アウンサンスーチー氏は昨年の選挙活動で支援者に対し、党は清らかな政府を作ると語っており、党の選挙公約では「汚職のない社会を作るために必要な行動を取る」と約束した。
元財務省副長官Soe Thein氏は、権力集中によって制御機能が荒廃した1988年以降、汚職が悪化したという。
「この慣習は根付いており、すぐに無くすことは困難である。しかしこれらは変化に向けたいい段階である」と彼は述べた。
政府機関の汚職はテインセイン政権の5年間で減ったと考えていると彼はいう。税制に対し更なる透明性を持たせ、国民が容易に意見を言え職員の権限の乱用が困難になるよう法律の簡素化を図るよう新政府に強く求める。
(Myanmar Times 2016年5月3日版 第9面より)