賃金一括払いが賃借人にとって問題に

経済の中心地の賃料が上がったことで、6か月若しくは1年もの長期間の賃料前払いの取決めが、ヤンゴンの住人とビジネステナントにとって急激に負担となっている。Kyauktada区の40th通りにあるアパートに妻と一緒に暮らすSoe Win Maung氏は、このような賃料の一回払いを都合できない、と言った。「最悪なのは少なくとも6か月分を即金払いするということだよ。」と彼は言った。「私たちは5年前からヤンゴンに住みはじめ、その時からアパートを借りてきました。アパートの賃料が上がり始めてから、支払う余裕がもうないよ。」
Soe Win Maung氏は生計のため道沿いにシャン麺の店を経営し、家を借りなければならない。彼らカップルにとって、6か月分の賃料の前渡しは金銭的に非常に厳しいものだ。彼らは3階建ての建物の3階の屋根裏に住んでおり、毎月の賃料は16万チャットであり、6か月の賃料は96万チャットとなる。「毎月一回の賃料支払いができるのであれば、私たちにとってそれは良いことです。今私たちは総額を支払う余裕がないので、アパートをもう一つの家族と共有しなくてはいけません。共有は嫌ですが他に選択肢はありません。」と彼は言った。
急騰している不動産価格は、ヤンゴンにおける賃料を高騰させた。Soe Win Maungさんは、6か月若しくは1年の一括払いを据え置いておくことは、都市の住人にとって急速に厳しくなっていると話した。賃料の支払いにもっと融通がきけば、彼は住居を共有する必要はないでしょう。融通の利かない賃貸借の取決めは中間・低所得者層を搾取する危険がある。
他の所得者層にとっては、それは異なるジレンマを生じさせる。ホワイトカラーとして働くPhone Kyawさんは、一括前払いの賃貸借契約へのサインは居住の公正性に欠けると言った。「私たちがアパートを借りる際、単なる内覧ではその地域が私達にとって適しているのかどうかすぐにわかりません。なので、結論を出す前に1・2か月程住んでみて、もし適していないのであれば、場所を移せるようにする必要があります。」と彼は言った。しかし、現在のシステムの下では、賃借人が早期に転出を決めた場合、彼らは支払った分を失うことになる。月極めで給料を受けとる彼は、一括の取決めにより大方の従業員たちが経済的苦難に陥ったと付け加えた。そしてそのようなシステムは、影響を受けた従業員たちにとってだけでなく、中小企業及び事業家たちにとっても同様に、主要な課題だ。
2014年に事業家の裏方として旅行代理店を始めたのですが、オフィススペースを借りる際にトラブルに遭いました。ここヤンゴンでは、オフィスとしてアパートを賃借することは非常に高くつきますし、その上一括で支払わなければいけません。12か月分の賃料を一括して前払いする時には、事業の投資資金のうち70パーセントが消えました。」と彼はミャンマータイムズに話した。
小売店の経営者も似たような困難に直面している。Kyauktada群区ボージョーアウンサンロードに面したレストランのオーナーであるPouk Siさんは、このシステムによって事業経営が困難になっている、と話した。「私のレストランは1階にあり毎月の賃料は100万チャットなのですが、12か月分を一括前払いしなくてはいけないのです。なので来年にはオーナー達は加えて1100万チャットを工面する予定です。この賃料とシステムではレストラン経営を続けていくことはできません。」と彼は不満を述べた。
1960年制定のThe Urban Rent Control Actは、地主は一か月分の保証金を要求することができるとしているが、他方一か月分を超えてはいけないとしている。この法律は賃貸借市場を規律することを目的とし、また、権限のバランスを地主から賃借人へと移行することを理念としている。もし政府がこの法律を効果的に運用できるのであれば賃借人たちが現在直面している問題に対処できるはずだ、と法律・ビジネスコンサルタントのThin Than Oo氏は述べた。つまり、現在行われている取決めは、厳密には違法なのである。
「ずっと昔、イギリスから独立する前、ラングーン自治委員会にはこの法律に基づき賃貸借市場を監督し、賃貸借にまつわる問題に対処するための委員会が設けられてました。しかし独立後は監督主体が不在で、行政はこの法律を効果的に運用できていません。そのため、人々は今日このような種の問題に直面しているのです。」と彼は説明した。
Real Estate Service Lawによってこの状況が変化するかもしれない、と話すのは不動産部門が適切に規律されているかを監督するMyanmar Real Estate Services Association(MRESA)の事務局長を務めるMoh Moh Aung氏である。新たなルールと規制は、都市部の賃貸借経済で広く用いられている一括払いのスキームに対処するものだ。
「まず、我々には不動産部門についての効果的な法律が必要です。現状、そのような産業について取り締まるための法律はなく、それゆえ数多くの問題が存在しています。賃料の一括払いという現状は完全にビジネスに依存しているため、我々は健全な経済である必要があります。健全な経済と確立した法的枠組みがあれば、だれも一括払いの影響に悩まなくなるでしょう。」と彼女は話した。
元議会議長であるThura U Shwe Mann氏が委員長を務めるThe Commission for the Assessment of Legal Affair and Special Issuesは、Real Estate Service Lawを起草している最中だ。時間のかかる議会手続を考えると、ヤンゴンの不満を持つ賃借人たちはしばらく一括払いを我慢し続けないといけないだろう。
(ミャンマータイムズ2月6日第7面より)