ドルの交換取引を許可したCBM、民間銀行がチャット安を招く原因に言及

ミャンマー中央銀行(CBM)は8月下旬、ミャンマーの通貨であるチャットの価値を安定させるための取り組みとして新しくスワップ制度の導入を開始すると、CBMのU Bo Bo Nge副総裁が8月19日、Myanmar Times誌に語った。
この動きは7月16日から8月15日の間にミャンマーチャットの対ドル価格が6%下落したことを発端としており、この間にCBMは民間銀行と一連の会合を開き、この状況について話し合った。
これらの会議に続いて、Myanmar Times誌は前週、Ayeyarwady銀行のCFO及び顧問であるAzeem Azimuddin氏の、銀行が先物やスワップなどの金融派生商品取引への許可を検討することにCBMが最終的に同意したという言葉を報道した。
慎重に検討した後、8月19日にCBMと民間銀行の間で最初のスワップ制度の開始を決定した。銀行と交渉し、間もなく開始する見込みであるとU Bo Bo Nge氏は述べた。
「まだ実施されていない軽微な法的交渉が残っているが、それらは1~2日以内に完了する見込みだ」と彼は言った。
CBMの新しいスワップ制度の下、民間銀行は合意された金利で14日または1ヶ月後に相当額のドルと引き換えに現地通貨を中央銀行に入金する。
CBMは民間銀行に必要なだけの通貨を売却する。「銀行は、必要としている多くのドルを得られるようになる。我々は間もなく、銀行との金利合意に署名する。この方法を用いて為替レートの急激な変動を防ぎ、為替レートをより適切にコントロールできるようになる」と彼は述べた。
急速かつ急激なチャット安の理由の一つは輸入量が急増したことによるドル不足である。
「CBMは現在、各民間銀行が毎日保持している外国為替額を監視している。これまでのところ、我外国為替相場の大幅な下落は見られていない」とU Bo Bo Nge氏は言う。
民間銀行は彼の言う方法で充分なドル資金の供給を受けているが、現在は他の銀行に売却するのではなく、通貨を貯蓄している。これがチャットに対してドルの価値が上昇する要因となっていると彼は述べた。
「民間銀行は顧客が輸入通貨を必要とするときに他の銀行からドルを購入する。ミャンマーでは全ての銀行は既に必要とする金額を計上している」とU Bo Bo Nge氏は言った。
「場合によっては、いくつかの銀行は手持ちより多くのドルが必要になる。だからより高いレートで販売する別の銀行から通貨を購入する。これはチャットに対するドルの価値を押し上げる国際的な要因とは別の、もう一つの理由である」と彼は付け加えた。
このように、スワップ制度の許可は変動為替レートの安定及び市場に流動化に役立つ。
中央銀行は過去に国際銀行との外為スワップ取引を行ったが、国内民間銀行とのスワップ取引に今回初めて関与することになる。
「我々は各銀行がいくら必要としているのかを既に尋ねた。我々はその要件を満たすことができる。現在販売されている金額の何倍もの通貨を用意することができる」とU Bo Bo Nge氏は述べた。
間接的ではあるが、外貨換算についても考慮されている。「CBMは両外商にドルを直接売却することはないが、民間銀行と政府の銀行はどちらも再販売できるようになる見込みである。そのようにして我々は認可された両替商を間接的にコントロールする」とU Bo Bo Ngeは言う。
この動きは、最近数週間の間にCBMで起きた一連の出来事の後に起きるものだ。8月16日、急騰したドルを安定させる試みとして、外貨準備から400万ドルが現地の民間銀行に譲渡された。この前日の8月15日には銀行に160万ドルを売却され、2日間で総額560万ドルを経済市場に注入した。これはCBMが7月27日以来、民間銀行に1日当たり10万ドルを売却しているにもかかわらず、チャット安が止まらなかったゆえに起きたことである。
CBMは、長期的に為替レートを管理するためにはより継続可能なオプションが必要であることを認識している。8月13日、銀行と為替取引が外国為替取引を行うことが認められている金利での取引価格帯0.8%を上回ったり下回ったりした。
「7月最終週、チャットの下げ幅が通常の基準を超えたとみなして、我々は為替相場の自由変動を決定した。また、それが一時的な傾向なのか継続的なものなのかを観察しなければならなかった」とU Bo Bo氏は述べた。
この決定は専門家によって称賛された。State CounselorのSean Turnell経済顧問は「ミャンマーは自国通貨を守るために充分な外貨準備がない。チャットを買うためにドルを使い、価格を押し上げようとすれば、チャットは急速に枯渇するだろう」と述べた。
前中央銀行職員かつドイツ開発機関GIZの上級顧問であるU San Thein氏は「CBMはプラスマイナス0.8%の為替レートを廃止し、需要と供給の市場力によって為替相場を決定することで変動為替システムを確立するための正しいステップを踏み出した」と述べた。
「固定相場制には限界があるので、CBMの市場への介入は、民間銀行への売却及び貸し付けともに最後の手段として使用すべきである。それは長期経済的構造調整プログラムに続く、一時的な措置に過ぎない」と彼は言う。
カンボーザ銀行の顧問でありCBMの前総裁であるThan Lwin氏はMyanmar Times誌に「ミャンマーは現在、輸出する以上の輸入をしているため、国内のニーズを満たすためのドルが常に不足している」と語った。
CBMは長期的な安定性を管理する上で正しい軌道にあるように思われる。
(Myanmar Times 2018年8月20日版 第4面より)