低金利でミャンマーの不動産税の収入が61%急落

2015年初めに政府収入全体の引き上げを狙い行われた不動産取引税の新しい税率の導入は、導入後半年間で期待された数字を出すことが出来なかった。
ヤンゴン国内歳入局(IRD)の副局長U Htin Aung Lin氏によると、今年上半期の固定資産税の収入は、前年と比較して、360億チャットから140億チャットと3分の2近く下落した。
課税年度は4月1日から3月31日で運営されている。9月末時点での低い収入は、今年後半の土地家屋税の徴税の可能性を示していると、U Htin Aung Lin氏はミャンマータイムズに述べた。問題の主な要因は低い税率であるという。
2015年4月1日に国家税法が下院議会で承認されたとき、アナリストは、特に1億チャットから15億チャットの範囲で売上税を大幅に引き下げたことで、市場は活気を取り戻すだろうと分析していた。
例えば、旧法の下では、5億チャットの不動産の売却は30%の税が課されていたが、新法の下では5%となる。政府はこの優遇措置によってより多くの税収を得ることを期待した。
この間、投機家は価格の高騰を狙って不動産への投資を控え、2015年11月8日の選挙に備えて投資先を米ドルや金へ切り替えたため、代理店の売上減少とともに不動産市場は冷えこんだ。
しかし、販売低迷が税収の低迷の原因ではなく、投機家が税金の支払いを見事に逃れているからであるとU Htin Aung Lin氏は言う。納税者の数が増えない以上、脱税も減らない。「より多くの取引が行われた場合でも、投機家は正式な所有権を取得していないため税金を支払わない」と彼は述べた。
販売者はお金を得る代わりに、買主に対して不動産上の一般的な権利や特別な権利を与えている。これは納税を避けるための一般的な方法であるという。本物の買主のみ不動産税を支払い、住宅や土地の正式な所有権を取得していると付け加えた。
このような買主は市場の下端にいる傾向にあると彼はいう。ミャンマーの富裕層が投機に注力する一方で、納税の多くが小さな取引によるものに限定されている。
「彼らは不動産を転売目的で購入する。彼らが取引ごとに税を納めたら、政府歳入は高くなるだろう」とU Htin Aung Lin氏は述べた。
不動産代理店業Sai Khon Naung社のU Naing氏 は「投機によって不動産価格は上昇し、だれもが納税により収益を減らしたくないと考えている」と同意した。
彼によると、他国ではこの方法は厳しい法律により取締りを受けるが、ミャンマー政府はこれを制御できなくなっている。「その結果が低い税金である」と強調した。
2015年4月以降、1億チャット以下の不動産購入者には最低税率である3%が、5億チャット以下の場合には5%、10億チャット以下の場合10%の税率が適用されている。
15億チャット以下の不動産の取引は20%課税され、15億チャットを超える不動産の取引に対しては、課税率30%を上限としている。また不動産購入者は印紙税を支払う必要があり、ヤンゴン市の場合5%、それ以外の地域では3%となる。販売業者は一律10%の税を支払うことになっている。
新しい法律が制定される前は、買主は収入源を証明できない場合、全ての取引において30%の税金を支払う必要があった。
しかし、2014年、政府は3億チャット以下の取引に対し一度きりの減税措置をとった。詳しい税率は次のとおりである。5,000万チャット以下の取引3%、1億チャット以下の取引5%、1億5,000万チャット以下の取引10%、3億チャット以下の取引20%。
(Myanmar Times 2015年 10月29日版 第8面より)