ミャンマーのリース法制定作業、今年開始の見込み

ミャンマー金融システムのもう一つの領域は、規制改革を強いられている。リース業が零細企業の金融アクセスを改善し、最終的には経済発展を促すと考える国際金融公社(IFC)の職員によると、今年にリース法の制定作業が始められる可能性が非常に高いという。
企業や個人が機械や車を購入するのではなく借りるリースは多くの国で数十億規模の産業であるが、ミャンマーではほとんど見られない。経済活動としてのリースは、ここではほとんど規制されておらず、具体的な法的枠組みがない。
IFCのミャンマー職員Khin Thida Maw氏によると、先進国では、企業が使用する機器の約30%がリースで、農業などの業界では同指数は70%と高くなる。
IFCは、ミャンマーにおけるリース法の発展を熱心に支援している。IFCの報告書によると既存のリース業者やリース業を行う予定のビジネス関係者は、IFCと中央銀行に対しリース法の発展を「強く求めてきた」そうだ。
リース業界の成長は利益をもたらす。機器を購入する代わりに借りることによって、個人農家から大企業までの誰もが支出を削減することができる。
建設会社は、多くの国でリースサービスの主要な利用者であり、ミャンマーには電力や交通といった分野の巨大なインフラのニーズがある。
国内の農家の多くは十分な収穫を確保するために必要な農業機械が不足しており、企業が農業機械をリースすることで、季節的な不足を補うことができる。
IFCによると、リース契約を交わし機器を借りることは事業の信用を築くことにもなり、銀行は融資の際リスク管理の支援することができる。
しかしミャンマーの規制の欠如は、企業によるリースサービスの提供の歯止めとはなっていない。
ヤンゴンに拠点を置くYoma Fleetは、自動車やセメントミキサーのような小型の建設機械をリースしている。
Hyundai自動車ミャンマーといった自動車販売業者はリースサービスを行っているが、自社の乗用車のみが対象である。
国際企業はまだミャンマーのリース業界に参入していない。東京三菱UFJ銀行系列の東銀リースは、今年後半にミャンマーで初めて駐在員事務所を持つ外資企業になる見込みである。
現地銀行と金融機関はリースと割賦販売の提供が認められ、自動車や機械といった資産を分割払いで購入し、支払期間中であっても購入者はその資産を利用できるようになる。
割賦販売は一般的になりつつあるが、リースはまだである。
主な問題はリースや割賦販売を規定する法的枠組みがないことであると、1995年に子会社のオリエンタルリース会社を設立したミャンマーオリエンタル銀行の会長Mya Than氏は述べた。
オリエンタルリース社は自動車、数種類の機械やアパートを対象とする割賦販売を提供している。
だが顧客の支払が滞った場合、企業は時間と費用がかかる裁判手続きを行い、資産を取り戻さなければならないと彼はいう。
「だから私たちは早急にリースや割賦販売に対する規制の成立を求めているのだ」。
オリエンタルリース社の名前にも関わらず、同社は割賦販売のみを行っている。なぜなら債務不履行後に債権を回収しようとすれば、他国のリース会社が通常非常にリスクがあるという高価格の機器を扱う取引になってしまうからであると彼は言う。
今年初めに開催されたリースに関するワークショップで、割賦販売を行う某銀行は顧客が債務不履行となった車を回収するために3年半かかったケースを詳しく語ったとYoma Fleet社の部長Allam Davison氏は述べた。
彼は更に、ミャンマーにおけるリース業界の成長と新たな企業を誘致するための重要なポイントは、リース法で規定されるべき債権回収のための法的枠組みであるという。
申し分のないリース法は十分な賃貸人保護を規定する一方、賃借人に対しては低い担保要件と少額の頭金を認めるものであるとKhin Thida Maw氏はいう。
Yoma Fleet社の事業開発部長Soe Moe Naing氏によると、リースの頭金は通常資産価値の10%であるが、割賦販売の場合20%から30%である。
担保付取引に対するIFCの広範囲に及ぶ努力の一環として、担保登記の発達も奨励している。
これは企業だけでなく銀行、在庫金融を利用する製造業者や小売業者、一般によるリース資産の登記を可能とするものだとKhine Thida Maw氏は述べた。
(Myanmar Times 2016年 6月14日版 第8面より)