ミャンマーの銀行、担保として株式を検討

ヤンゴン証券取引所(YSX)に上場している企業の投資家は、近々、銀行ローンを利用する場合に株式を使用できるかもしれない。YSXは株式を担保とするシステムに関して、銀行と上場企業と共に議論を行っており、この実現を株主は望んでいる。
上場企業First Myanmar Investment社のオーナーである実業家Serge Pun氏は、この動きを推進する人の一人である。FMI社がYSXに株式を上場させる前、投資家はFMIの筆頭株主であるYoma銀行からの借入時に担保としてこれら株式を使用することができた。
株式証券は、ヤンゴンのFMIセンターで店頭取引されており、そこでは投資家がYOMA銀行に提出できる株主証明書が発行されていた。同行は株式価格の50%と同等額の融資を提供していた。
ミャンマーの銀行で店頭株式を担保に融資を行っていた銀行はYOMA銀行だけではない。匿名希望のあるミャンマー大手銀行の職員は、過去にこのような証明書を認めていたと述べたが、どの企業の株式であったかは話さなかった。
YSXで使用される電子システムでは、このような証明は発行できない。8月7日に行われたFMI社の株主総会で、Pun氏に対しYoma銀行に限らず国内の銀行から再び担保として株式を使用することができるよう支援を求めたと、株主はミャンマータイムズに語った。
Pun氏は、解決には証券会社とYSXからの支援が必要であると述べた。
「株式証券が使用されていないことによる管理上の問題である」「担保として電子記録証券を使用する論理的な問題は、解決に時間を要する」と彼はミャンマータイムズに語った。
YSXは既に株主が他者との取引において株式を担保として差し入れることを可能にするシステムづくりに取り組んでおり、銀行ローンの担保とすることも含まれると、YSXの顧問矢頭憲介氏はいう。
証券取引所は上場企業であるFMIとミャンマーティラワSEZホールディングスの2社に計画を開示したが、上場企業の要請を受けることなく投資家に対する一般義務のシステム作りを始めたと矢頭氏は述べた。
担保として株式を差し入れることは、他国では一般的であり、YSXはミャンマーでこれを可能にするコンピューターシステムの提供方法を検討している。
YSXの計画では、株主はまず銀行と契約を結び、その後自身の証券口座から銀行の株式口座へ株式を譲渡する。議決権や配当金といった株主の権利の移譲については、契約書に詳述することになる。
YSXは現在システムが実行可能かどうかを銀行へ確認していると矢頭氏は述べた。
「私たちは銀行の印象を伺い、銀行から情報を収集する必要がある」と彼はいい、銀行がシステムに満足すれば、直ぐにでもシステムは運用を開始するだろうと述べた。
全銀行に意見を求めたわけではないが、意見を伺った銀行は「実現可能であろう」と述べているという。
中央銀行は、銀行が取ることのできる担保の種類を制限している。AYA銀行の頭取Phyo Aung氏によれば、株式はグレイゾーンであり、担保としての使用に関する規制は不明確であるという。だが彼は、中央銀行が担保としてYSX上場株式の使用を禁止することはないだろうと考えている。
ミャンマー中央銀行の金融政策部の職員は、株式は許容される担保の公式リストに挙がっていないという。リストには土地、建物、政府国債、預金、金などが挙げられる。
しかし銀行がYSX株式の受け入れを許可されるかどうかは、金融機関部の管轄であり、締め切りまでに確認を取ることができなかった。
Pun氏はまた、問題は規制ではなく論理であるという。
CB銀行経営委員会のメンバーでありCB証券の取締役であるThaung Han氏も、銀行が株式所有権を担保とすることを禁止する規制上の制限がないと考える。だが銀行には、株式を担保として受け入れる義務もない。
「銀行次第である」「銀行が(株式を担保として)融資したくないということもありうる」と彼は述べた。
ミャンマーの銀行は担保融資のみ法律で認められており、大抵、何を担保とするか非常に慎重になる。
例えばインドの倉庫会社Sohan Lal Commodity Management社は、昨年、必死に農産物を担保にできるミャンマーの銀行を探した。Phyo Aung氏は、AYA銀行は極度ローン、つまり銀行が延長や更新の義務を負わない短期ローンを提供する担保としてYSX上場企業の株式を受け入れるという。
AYA銀行は担保として株式を使う借手に対しより厳しい与信チェックを行い、不安定な株式を監視し、株式購入を目的としたローンは許可しないとPhyo Aung氏は述べた。
だがYSXとその金融システムは、銀行にとってプラスになると彼はいう。
矢頭氏は、上場株式を担保にできれば、投資家所有株式を運転資本として使用でき、金融システムに関わるお金の流れを上昇させることができるという。
YSXにとっても、担保として株式を使用できれば、株式価値を高め、取引の増加につながるだろう。
しかし投資家が株式購入に銀行ローンを使用することは新たな証券取引のリスクでもあり、このような行動の結果としての投機バブルを防ぐため規則と手続きを明確化すべきであると述べた。
(Myanmar Times 8月12日版 第10面より)