中央銀行総裁の再任に「ショックを受けた」経済

ミャンマー中央銀行(CBM)のU Kyaw Kyaw Maung総裁の長年に亘る再任は、経済界に広く不信感と失望をもたらした。
現職の総裁が7月31日に再任された。7月26日、U Win Myint大統領が連邦議会Pyidaungsu Hluttawに指名する旨を送った。連邦議会の広報担当者であるU Mahn Win Khaing Than氏は7月31日に指名を確定したと発表した。
第二次世界大戦の始まる前に生まれたU Kyaw Kyaw Maung総裁は、合計15年間総裁を務めている。軍事政権下にあり、銀行制度がいくつかの危機に襲われた1997年から2007年にかけて、彼はCBMの総裁を務めていた。U Thein Sein政権は2013年に彼を 総裁に戻し、民主化した後も配転させることはなかった。彼のCVによれば、彼の息子の一人がアジアグリーン開発(AGD)銀行で働いているとのことだ。
U Kyaw Maaw Maung総裁は、第二次世界大戦前に生まれたにもかかわらず、5月に内閣に加わった最も新しい閣僚で80歳の元銀行家であるU Soe Win氏よりも若い。しかし、閣僚の変更が国内外の投資家に好評を得ている間も、この再任は反対の反応を引き起こした。
話題が繊細なものであるために匿名で話すことを要求した西洋出身のビジネスリーダーは、各国の経済界は現総裁の再任に「ショックを受けた」と語った。一方、アジアの企業経営者たちは個人的に強い不満を表明した。彼のリーダーシップの下での改革と自由化は限定的であり、かつ遅れている。例えば、2016年の金融機関法に伴う規則を発行するためにCBMは18ヶ月かかり、現時点で民間銀行は独自の金利を設定できないことが挙げられる。ミャンマー国内にある外資系企業は大部分の地域で依然として実体のない部外者のままだ。
国内企業は政府の選択によって「驚いている」と、Mandalay Technologyの役員U Zaw Naingは述べている。
「現総裁の在職期間を延長することによって、財政および金融政策の方向性は非常に保守的で、さらには短縮的であるとも感じている」と彼は言う。
ひとつの噂によると、ネピドーの役人たちはこの人事にあまり不満を感じていない。なぜなら彼らにとって総裁の立場に誰が立つのかはそれほど重要ではないからだ。これはCBMが公的機関として独立性を有するとされているにも関わらず、それは名目上のもので、政府に従うことが期待されているという政治的な実情によるものである。Myanmar Times誌はこれが経済的な停滞解消の解決策になるのかを企業家に尋ねた。
「それは可能だが、総裁が舵取りをしており、財政及び金融部門は彼の机上で管理されている。政府の指導者たちがあらゆる規制や行政体制の中で、全ての根本的な問題に関与することは不可能だ。改革は依然として総裁にかかっている」とU Zaw Naing氏は続けた。
彼はちょうど昨日、2人の企業家が、再任された総裁に対して不満を共有したということにも言及した。「私は先日、大規模な保険会社の役員及び地方銀行の最高経営責任者(CEO)と話をした。彼らもまた、決定に不満を覚えていた。我々は改革が引き続き阻止されたり停滞したりすると考えている」。
ミャンマー連邦商工会議所副会長のU Maung Maung Layは7月31日にIrrawaddy誌の記事を引用して「国家経済発展の機会を逃した」と述べた。
「これは個人的な考えではない。我々は新しい総裁を求めている。新任者が新しい方針を定めることを望んでいたのだ。しかし、我々は今のこの現状に直面している」と彼は論評した。
経済学者のDr Naing Ko KoはCBMは政府の経済的優先事項との「調和がとれていない」と述べた。
誰もが批判的な訳ではない。また別の経済学者Dr Aung Ko Koは金融政策をネピドーの財政政策と整合させなければならないため、「CBM自身の業績についてコメントするのは難しい」と言った。
この見解に関わらず、総裁は多くのことを提供していると欧州の擁護団体は述べている。
U Kyaw Kyaw Maung氏は銀行部門と関連サービス、貿易金融を拡大し、資金調達の禁止義務などの障害について関連省庁を通じて解決する必要があると、法務諮問グループの共同議長でもあるDFDL法律事務所のNishant Choudhary氏はコメントした。
同氏はCBMに対し、外国投資がノンバンキング金融機関(NBFI)として登録され、モバイル金融サービスライセンスを付与され、銀行システムのデジタル化にインセンティブを与えることを奨励するよう求めた。その他の優先事項はミャンマー企業がミャンマー国内の国際銀行の支店から借り入れし、小口金融を自由化できるようにすることである。
(Myanmar Times 2018年8月2日版 第4面より)