ミャンマーは知的財産権保護に向けてどれだけ進んでいるか

2月15日に、ミャンマー議会上院議会は商標及び地理的表示法案、意匠法案、特許法案、著作権法案を採択した。
著作権法案は、改正を提案した下院議会を通過し、9月12日に上院議会へ返却された。議会による著作権法案の承認プロセスは、現在最終段階にある。しかし議会が、他の知的財産法(IP)の承認を待つため法案の通過を延期するかどうかは不明だ。
一方、商標法案は下院議会法案委員会により審査されている。9月11日にネピドーでミャンマー政治科学研究所が開催したワークショップで、法案委員会は商標の定義や罰則の規定など商標法案について広範に議論した。
特に新たな法律の下では、現在Registry of Deeds and Assuranceに登録している全商標権者は新法の施行時に手続きを繰り返さなければならない。商標法案第92条では、本法に先立ちRegistry of Deeds and Assuranceオフィスに登録している商標権者は、商標の権利を享受するため本法に従い申請書を提出しなければならないと述べている。
下院議会は現在商標権者のため、商標の再申請のための移行期間を加えることを検討している。移行期間は3か月から6か月となる予定である。
商標法案は、今月中に法案委員会により下院議会に提出される予定である。議会の承認を得た後、法案は大統領府に提出、署名される。大統領府が法案を受け取ってから、14日以内に法律として制定される。

新たな特徴
新たな法律により導入される最も重要な特徴の一つとして、ミャンマーがこれまでの 様な先発明主義規則の代わりに先願主義規則を適用することが挙げられる。先願主義は、発明による特許を付与される権利を持つ者を定義する法的概念である。先願主義システムは、米国を含む全ての国で使用されている。
登録可能マークには、商標、サービスマーク、集合マーク、証明マーク、場合によっては3次元または製品形状が含まれる。
他の特徴として、登録による地理的表示の保護、悪用や妨害の可能性に対する有名なマークの保護、取消行為や優先権、展示権が含まれる。
現行システムに基づき記録されたマークを自動的に再登録する方法はない。そのため、ミャンマーでの保護を得るためには現在記録されている全てのマークを再提出し、新たな法律が制定される際審査される必要がある。
また、現行システムに基づき記録されたマーク又はミャンマーで使用されていたマークと、新法が制定された後に登録されるマークとの間に起こり得る争いに対処する規定は何もなく、法的不確実性が生じる可能性がある。
施行のための改善は、行政が担う。

特許と意匠:特許となる
特許及び意匠法案の進捗は遅いが、すぐに著作権及び商標法案と同じ道筋を辿るべきである。
1946年特許及び意匠(緊急規定)法はミャンマーの法令本に残っており、その目的は1911年のインド特許及び意匠法(IPDA)の適用であったが、廃止された。IPDAがミャンマー法典に一度も掲載されていないため、ミャンマーで特許及び意匠法は施行されていない。
ミャンマー上院議会は2月15日、特許及び意匠法案に賛成を投じた。しかし、法案は下院議会の承認を得るまで法律として制定しないため、時間がかかることがある。特許法案によると、特許は民事訴訟または刑事訴訟を通して強制できる。
著作権法案及び商標法案の双方が、年内に制定される可能性は高いとみている。そのため企業は、これら2つの法律がIPに与える変化に照らして、知的財産権保護の戦略的開発を開始するべきである。
(Myanmar Times 2018年9月26日版第5面より)