2016年に国勢調査の最終結果公開予定

民族及び宗教のデータを除外した2014年の国勢調査の主要結果が、来年早々に公開されると、2015年5月29日に政府関係者は述べた。暫定的な結果は、2014年8月に既に公開されている。
135の認定されている民族グループだけでなく、認定されていない民族もいくつか含んだ国勢調査は、30年以上も実施されていなかった。
「我々が民族指導者と議論をすれば、問題を解決することができると思う。それには更なる時間が必要である。2016年の早い時期に産業、職業、宗教及び民族のデータを公開する」と、U Khin Yiは問題が意味するところを具体的に挙げることなく述べた。
オブサーバーからは、遅れは運営上ではなく政治的なものによるとの示唆があり、センシティブなデータの公開は政治的にデリケートな時期の緊張を煽る可能性が懸念される、と述べられた。
国際危機グループ(International Crisis Group, ICG)は、国勢調査の結果を公表することによるリスクの可能性を2014年5月に警告した。民族のアイデンティティの分類方法に合意が得られていないこと、また国のムスリムの数は予想よりもかなり多い可能性があり、11月の議会選挙に向かう段階で緊張を煽るだろう、と述べた。
ムスリムの人口は、1983年に公式に国全体の4%と算出されているが、前回、10年前に実施された国勢調査でも同じ数字である。
国勢調査は、ロヒンギャとしてのアイデンティティを望んでいるラカイン州の人たちを除いたため、論争が起きている。
同省は、ラカイン州では推定109万の人々が数えられておらず、一方で、民族武装グループによって制圧されているカレン州とカチン州の一部地域では、統計調査者の入域が拒否されている、と述べた。
「ラカイン州の一部地域では、いくつかのコミュニティのメンバーは、政府に認定されていない名前ではアイデンティティが認められないために、数えられていない。政府は共同社会内の緊張が原因で起こる暴力の可能性を避けるため、また安全の確保のため、この決定を下した」と277ページに亘る国勢調査報告書のなかで述べている。
政府は、「ロヒンギャ」を民族として認定することを拒み、彼らのルーツがバングラデシュにあることから、「ベンガリ」としている。
ミャンマーの国連事務局長の特別アドバイザーであるVijay Nambiar氏は、国勢調査を素晴らしい成果として認めているが、欠点は見過ごすべきでないと述べた。
「ラカイン州北部では、共同社会の緊張が高まっており、多くの人々がロヒンギャとしてのアイデンティティを要望するなかで、ある人口分類に属する多くの人々が取り残され、ロヒンギャとしてのアイデンティティも当局によって認められなかった」とNambiarは述べた。
「国勢調査で使用した民族グループの公式リストはまた、不和と懸念のもととなる。政府は、ミャンマーの民族の多様性を表すカテゴリーをより正確に表現するために、民族データを公開する前に、分類を見直す協議会を招集することを賢明にも決定した」と彼は述べた。
テインセイン大統領は、近い将来、政府は州の方針に基づいた融和を構築するための協議を行うことになると話した。
「私たちは、政治的合意に基づいた民族の認定及び分類の問題に、間違いなく直面するだろう。この点において、国勢調査のデータはこれらの問題への対処を促進するだろう」と彼は述べた。
更に、データは、政府が「誰も取り残されることがないように、より適切で効果的な政策を立案・実施する」ことを可能にし、「すべての国民が、性別、人種、身分、障がいの有無に関係なく、教育、医療、社会福祉に平等にアクセスできるようになる」と述べた。
「信頼性があって正確な国勢調査のデータは、効果的な公共サービスの提供及び民間セクター開発の計画やプロジェクトの立案にあたって活用される、獲得可能な人材や人口統計に基づいた市況などの情報を提供し、また、経済発展を確実なものとする外国直接投資を誘致する。社会改革の過程で、人口に関する情報は、教育と医療の効果的な提供及び民族文化の発展を可能にする」と彼は述べた。
テインセイン大統領は、これまでに公開された国勢調査の結果は、オンライン、印刷物及び担当省により提供されたDVDなど、何種類かの媒体で入手可能であると強調した。
(Myanmar Times 2015年6月1日版 第6面より)